流星群

 先に大気圏に突入した星が、先に消えると決まっているわけではないらしい。

 では大きければいいかというと、それも違うようで、南天に一際輝いていた星が華やかに砕け散ってゆくのを、僕は自分の星から振り返って眺めていた。

 チカチカと瞬く最後の欠片に向かって、さようなら、と手を振る。気付いてもらえるかどうか分からないけれど、僕はあの星が好きだったのだ。同じ視界を自分の星の尾が横切ってゆく。

 目を転じて尻の下を見てみれば、僕の星はまだ固くしっかりしていて、ヒビも無い。
 もうしばらくは大丈夫そうだ。もちろんそんな予想が当たる保証は何もないが。

 ならば、と僕は思う。今度は前を向いてみるのもいいかもしれない。
 誰かが僕に手を振ってないとも限らないだろうから。



 



― 戻る ―